生まれたばかりの赤ちゃんが風邪を引いたら、ママは心配ですよね。新生児に風邪と思われる症状がある場合は、健康状態をよく観察して病院を受診するかどうか決める必要があります。いざというときに慌てず対応できるように、新生児が風邪を引いたときの対処法を知っておきましょう。
新生児でRSウイルスに感染!我が家の体験談

我が家の第二子がまだ新生児だったころ、上の子が保育園から風邪をもらってきました。発熱はなく咳と鼻水だけだったので、普通の風邪だろうと楽観していたのですが…。
上の子の風邪症状が始まってから数日後、生まれたばかりの下の子がくしゃみを連発するようになりました。次の日には咳と鼻水が出始め、咳のせいでミルクを飲んでもすぐ吐いてしまうように。痰が絡んで呼吸もしづらく、とても苦しそうでした。
慌てて小児科を受診して検査したところ、RSウイルスに感染していることが判明。上の子の風邪症状はRSウイルスによるもので、それが新生児の下の子にうつってしまったのです。
小児科の先生からは、新生児がRSウイルスに感染すると重症化しやすいこと、悪化すれば入院になる可能性もあるという説明を受けました。新生児は飲める薬の種類が少なく、痰を切るシロップ剤だけ処方されてその日は帰宅。
そのあと数日は咳と鼻水が続いて不安でしたが、咳でミルクを吐き戻しながらもしっかり飲んでくれたので、脱水になることもなく無事に回復しました。
新生児は免疫があるから風邪がうつらない?

新生児はママからもらった免疫を持っていいるので風邪などの病気にかかりにくいと言われていますが、すべての感染症を防げるわけではありません。ママが持っている免疫が効かないウイルスや菌は、新生児にも感染してしまいます。
パパやママが風邪を引いたり、上の子がいる場合は保育園から風邪をもらってきたりして、新生児にその風邪がうつってしまうこともあるのです。
出典:赤ちゃんの予防接種デビューについて|たち内科小児科クリニック
赤ちゃんが風邪を引いたときの主な症状は?

新生児の主な風邪症状は、くしゃみ、咳、鼻水です。鼻腔から咽頭までの上気道にウイルスや細菌が感染することにより、炎症を起こします。ひどくなると炎症が気管支や肺まで広がることもあります。
出典:風邪(ウイルス性上気道炎)|有明みんなクリニック・有明こどもクリニック
【症状別】新生児が風邪を引いた場合の対応

新生児は体が小さく体力もないため、風邪を引いてしまうとすぐには治りません。パパやママが症状に合わせて対処してあげましょう。
咳が出る
喉に病原体が付着すると、体外に排出しようとして咳が出ます。風邪を引くとくしゃみも頻繁に出ますが、これもウイルスや細菌を体の外に出すための働きです。
赤ちゃんは横になっている時間が多いですが、体を横にすると咳が出やすいため、咳が続いて苦しそうなときは縦抱っこをしてみましょう。また、喉が乾燥していると咳が多くなります。温かい蒸しタオルを口元に当てると蒸気で喉が潤うので、少し楽になるでしょう。
鼻水が出る
赤ちゃんは自分で鼻をかめないため、鼻詰まりで苦しくなったり鼻水の量が多くなったりします。綿棒やガーゼなどで優しく取り除いてあげましょう。また、赤ちゃんは自分で鼻水を外に出せず鼻水が溜まってしまうので、中耳炎になりやすいと言われています。
中耳炎を予防するためには、鼻吸い器の使用が効果的です。市販の鼻水吸引器は正しく使わないと耳の中に陰圧がかかって逆に中耳炎を誘発してしまうので、取扱説明書をよく読んで適正に使いましょう。
新生児は鼻が詰まっているとおっぱいやミルクをうまく飲めません。鼻水が出ていたり鼻が詰まったりしているときは、授乳の前に鼻吸いをしてあげると鼻の通りが良くなるでしょう。鼻が詰まっていると苦しくて眠れない場合もあるので、赤ちゃんの頭の位置を少し高くして寝かせるのもおすすめです。
出典:「こどもの中耳炎」と「鼻吸い」|医療法人社団千秋双葉会 亀戸耳鼻咽喉科
目やにが出る
新生児はもともと目やにが多いのですが、これは鼻涙管という、涙が鼻に抜けるための管が狭く詰まりやすいためです。目の汚れや分泌物は鼻涙管から鼻に抜けて排出されますが、風邪で鼻が詰まると鼻涙管も詰まって目の分泌物が流れないため、目やにが通常より多くなります。
新生児の目やには、清潔なガーゼを濡らしてそっと拭き取ってください。清浄綿やコットンでもOKです。
発熱がある
新生児の平熱は36.5℃~37.5℃です。新生児はママからもらった免疫があるので発熱することはめったにありませんが、もし37.5℃以上の熱がある場合はウイルスや細菌による感染症にかかっている可能性もあります。新生児が発熱したときは早めに受診しましょう。
出典:【新生児の体温】平熱や発熱の基準は?熱が出たときの対処法、病院へ行く目安|医療社団法人 日暮里医院
新生児の体調チェックポイント

ママやパパが新生児の体調の異変に気付くためには、普段の様子をよく観察しておくことが重要です。赤ちゃんの体調にいつもと違うところがあると思ったら、以下のチェックポイントを参考にして病院を受診するか判断しましょう。
体温 | 37.5℃以上の発熱は病院を受診 |
母乳・ミルク | 4~5時間以上飲まない場合は脱水の可能性(汗をたくさんかいているときは3時間でも要注意) |
おしっこ | オムツが12時間以上濡れていないときは脱水の可能性 |
泣き方 | 激しく泣く、長時間ぐずる場合は体調不良の前兆の可能性 |
呼吸 | 新生児の場合、通常1分間40回程度。60以上、ゼーゼーという呼吸の場合は病院へ |
その他 | 呼吸が苦しそう、ぐったりしている、顔色が悪い、泣かない |
小児科を受診するかどうかの目安

自宅で様子を見る
- 鼻水や咳などの風邪症状はあるが機嫌は良い
- 普段の平熱より少し高いが、37.5℃未満で母乳やミルクをよく飲んでいる
診療時間内の受診でOKなケース
- 熱が37.5℃以上ある
- 咳が長引いている
- 鼻が詰まって苦しそう
- 咳や鼻水のほかに下痢、嘔吐の症状がある
診療時間外でも受診した方が良いケース
- 38.0℃以上の高熱がある
- 母乳やミルクを飲めていない
- 苦しそうに呼吸している
- 意識がない
風邪を引いた新生児を病院に連れて行くときの注意点

小児科は慢性的に混み合っていて待ち時間が長くなる傾向にあります。また、いろいろな病気にかかった子どもたちが来るので、病院で他の病気をもらってしまわないように気をつけましょう。新生児を連れたママやパパが小児科をスムーズに受診するためのポイントをお伝えします。
予約できる場合は診察予約をしてから行く
診察予約ができる小児科の場合は、事前に順番予約をしてから病院へ向かいましょう。体調の悪い新生児が受診の順番まで長時間待つのは、とても負担がかかります。混雑した待合室に長い時間滞在することは、感染症にかかるリスクにもつながるでしょう。
できるだけ混雑していない時間帯を選ぶ
予約ができない場合は、混雑する時間を避けて受診しましょう。土曜午前の診療時間や、連休明けの午前中は受診する人が多く混雑しやすいです。抵抗力のない新生児が他の感染症にかかってしまわないように、できるだけ人が少ない曜日や時間帯に受診しましょう。
医師に症状を説明できるようにしておく
診察のときに赤ちゃんの病状を正確に伝えられるように、体調の変化をメモに書き出しておいて持参しましょう。いつから症状があるのか、熱は何度くらいで推移しているか、授乳や排せつはどれくらいの頻度など、細かく記録しておくことをおすすめします。
気になることやお医者さんに質問したいことがあれば、それも書き留めておきましょう。
風邪症状のある新生児を自宅でケアするときのポイント

風邪を治す特効薬はなく、基本は安静に過ごしてウイルスが体からいなくなるのを待ちます。新生児が風邪を引いたときに自宅で適切に看護できるように、以下のポイントを押さえておきましょう。
新生児でも薬は飲める?
風邪は自分の免疫力で治すものなので、薬を飲んでもすぐには治りません。ですが、症状がつらい場合は新生児でも飲める薬があります。小児科を受診して、症状に合わせた薬をもらいましょう。
月齢の低い赤ちゃんにはシロップ剤が処方されますが、冷所保管となっているものがほとんどなので、保管場所に気をつけましょう。子ども向けの市販薬もありますが、新生児には飲ませないようにしてください。
快適な室温にする
風邪を引いた赤ちゃんが快適に過ごせるよう、室温は22℃~23℃を目安に調節しましょう。熱すぎると汗をかいて体が冷えてしまうので、室内では薄着にしてあげます。
授乳の回数を増やす
発熱があるときは脱水になりやすいため、授乳の回数をいつもより多くします。咳や鼻水が出る場合も同様です。ママは大変ですが、30分~1時間おきに母乳やミルクを飲ませるようにして、赤ちゃんが欲しがるだけ飲ませましょう。
痰が絡んでいると、咳をした拍子に母乳やミルクを吐き戻してしまうことがあります。一度にたくさん飲むと吐き戻しやすくなるので、1回の哺乳量を少なめにして、授乳の回数を増やしてあげることで吐き戻しを防げます。
こまめにおむつ替えや着替えをする
発熱したとき、赤ちゃんは汗をかいて体温を下げようとします。赤ちゃんが汗をたくさんかいたら、温かいタオルで体をふいて着替えをさせましょう。汗をかくとオムツも蒸れやすいので、オムツ交換もこまめに行います。
熱が高いときは沐浴・入浴を避ける
発熱している新生児をお風呂に入れると、体力を消耗させてしまいます。赤ちゃんが発熱している場合は沐浴や入浴を控え、蒸しタオルなどで体をきれいにふいてから着替えをさせましょう。
咳や鼻水が出ていても、発熱がなく元気な様子であれば入浴してもOKです。お風呂に長い時間浸からせないようにして、入浴後は湯冷めしないように手早く着替えを済ませましょう。
新生児に風邪を引かせないための対策は?

新生児の赤ちゃんは抵抗力が弱く、風邪を引くと悪化しやすいので、できるだけ風邪を引かないようにパパやママが日頃から対策をしてあげましょう。
体調の変化にすぐ気付けるようにする
赤ちゃんの体調不良に気付くためには、健康なときの状態を正しく把握しておくことが大切です。新生児の平熱は大人より高めですが個人差があるので、体温を毎日測って平熱が何℃くらいか確かめておきましょう。
また、母乳やミルクをいつもより飲まない、機嫌が悪い状態が長く続く、おしっこの回数が少ない、うんちの色がおかしいなど、いつもと違うところがある場合は体調不良の前触れの可能性もあります。普段の様子をパパやママがよく観察しておきましょう。
人が集まる場所には出かけないようにする
人がたくさんいる場所にはウイルスや細菌がいるため、新生児を人混みに連れて出かけるのはできるだけ避けた方が良いでしょう。やむをえず外出するときは短時間で済ませるようにして、無防備な赤ちゃんがウイルスや細菌にさらされないようにしましょう。
家族が風邪を持ち込まないようにする
家族が風邪を引くと、家庭内で赤ちゃんにうつるリスクが高まります。赤ちゃんは自分で防御ができないので、帰宅した家族は手洗い・うがいをして赤ちゃんにウイルスや菌がつかないようにしましょう。家族が早寝早起きをして生活リズムを整え、食事にも気を付けて風邪を予防することも重要です。
部屋の湿度を適度に保つ
部屋の空気が乾燥しているとウイルスや菌が活性化し、鼻や喉の粘膜も乾燥して風邪を引きやすくなります。風邪を予防するためには湿度を50%~60%に調整するのが良いとされているため、加湿器を使ったり濡れたタオルを室内に干したりして、乾燥を防ぎましょう。
冬は窓を開けないので部屋に空気がこもりがちです。こまめに換気をして、室内の空気を入れ替えましょう。
新生児の体調変化を察知しよう

新生児はママからもらった免疫に守られていますが、全く病気にならないわけではありません。まずは家族がしっかり風邪予防をして、ウイルスや細菌を家庭に持ち込まないようにしましょう。
生まれたばかりの赤ちゃんが風邪を引くと、症状がひどくなる場合があります。赤ちゃんの様子をよく観察して早めに病院を受診し、お家では安静に過ごせるよう環境を整えてあげてください。